コラム

COLUMN

人工生命体

2022.11.28

院長コラム東京編

以前のブログかコラムでも述べたが、私は大学時代に外科領域の遺伝子治療の研究をかなりやっていた。そのおかげで、ウイルスの扱い方は、若干わかっている。遺伝子治療では、ウイルスを改変したウイルズベクターという遺伝子の運び屋を用いて、体内に遺伝子を運ぶ。そのため、遺伝子操作技術を用いて、不必要な遺伝子を取り除き、必要な遺伝子を挿入するという操作を繰り返し、治療に用いるウイルスベクターを作成するのである。ある意味、人工生命体の合成の様なもので、現在の遺伝子治療技術は、このウイルスベクターの進歩にささえられているわけである。
先日、慶應医学賞を東大医科研の河岡教授が受賞された。この先生は、インフルエンザウイルスの権威で、インフルエンザウイルスを世界で初めて人工合成したことで知られている。この技術は、今ではインフルエンザやコロナワクチン作成に応用されているらしい。ウイルスの人工合成とは、もともと生物界に存在するインフルエンザというウイルスそのものを人工的に作り出すことである、ウイルスは、細胞とは異なり、サイズが小さく、構造もそれほど複雑ではないが、やはり合成となるとハードルが高い。人工生命体の作成というテーマは、それほど新しいテーマではない。多くの研究者がチャレンジしてきたテーマである。再現性が得られない論文も数多くある。その中で、いたってシンプルな手法で、誰でも再現できる方法を編み出したところに、河岡先生の新規制がある様である。私の人工生命体プロジェクトも、しばらく止まっていたが、もう一度再構築しようと考える次第である。

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