コラム

COLUMN

癒しの存在

2022.09.01

院長コラム東京編

先日の会食で興味深い話題があった。

欧州のある国で、老人施設で暮らすお年寄りたちの認知症などの進行性精神障害を社会とのつながりで改善できないか、という試みがあった。

具体的には、キッズガーデンと共同で、子どもたちと接触する機会を意識的に多く作ったのである。子供たちの持つパワーを成長利用して、ご老人がたの若返りを図ろうとしたのであろう。

ところが、予想に反し、この試みは失敗した。ストレスを感じるご老人が多くなり、結局精神障害が悪化するケースが多くなったのである。結論として、老人たちと子供たちの共生は困難であるということになった。

そこで、「子供の代わりにペットならどうか」という話になった。そして、ペットなら成功するであろう、ということで意見の一致を見た。

もちろん、その場に参加した方々が、犬なり、猫なりのペットを飼っている人たちであったので、皆さんご自分が、ペットと共にする生活をイメージしながら、このような結論を出したのであろう。

しかし、子供よりペットが望ましいという見解に落ち着くというのは意外であった。確かにアーサーは、目の中に入れても痛くないほど、可愛いし、一緒にいるとストレスが消失する感がある。

いつまで経っても、子供であるし、悪戯されるのも可愛いものである。

人は、成長し、自我が芽生えると共に、独立した存在になり、ひとりの人間という存在を感じさせるようになる。そうなると、距離感ができるようになり、ペットのように、自分のものでは済まされない。

キッズガーデンではなく、ペットガーデンこそが老人施設との共生施設となるのである。

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