コラム

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田村正和

2021.06.24

院長コラム東京編

田村正和が亡くなった。田村正和は、正統派二枚目スタートして、また板東妻三郎の二男としてよく知られている。しかし私が彼のことを知っているのは、ほとんどテレビ、しかもコミカルな役であり、正統派というのは、眠狂四郎ぐらいである、その彼が、晩年は、ほとんどマスコミに顔を出すことなく、いつの間にか亡くなっていたのである。もともと病気がちの人で、晩年も病気であったらしい。突然、芸能界を引退し、あっという間に亡くなった、感じである。静かな晩年で、静かに亡くなったところは、彼の美学であったようである。

このような生き方も、晩節を汚すより、はるかに清々しい感はある。

自分の人生は、ここまでと決め、さっと現役を引退し、静かに余生を送る。私の周囲にも、多くの余生生活の先生方がいるが、どの方々も結構生々しく、真っ白な美しさは、感じられない人々ばかりである。とすると、人生を美しく生きる、ということは、なかなか困難なことで、真似のできない芸、ということであるか?

美しくない日本に、稀有な人材が存在したことに感銘を受けるのである。

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